今ではショッピングセンターで当たり前の様に使われている「アーケード」という言葉。
日本で初めて「アーケード」と名付けられたのは、帝国ホテルアーケードでした。
世界で一番美しいホテル
帝国ホテルは1890年、世界の賓客を迎える迎賓館として、国の威信をかけて創設された。
1923年には「アメリカが生んだ20世紀最高の建築家」と言われる
フランク・L・ライト氏による新館「ライト館」が完成。
平等院・鳳凰堂からインスピレーションを受けてデザインされたというこのライト館は、
大谷石とレンガを巧みに組み合わせた独特の造形美で「世界で一番美しいホテル」と絶賛された。
当時の支配人、犬丸徹三氏はこの新館を「理想のホテルの実現」と語っている。
「外国のお客さまが、ホテルから一歩も出なくても日本の最高の
文化と伝統芸術をじゅうぶん味わっていただけるように心を配った」
という犬丸氏は、ショッピングもホテルの重要な機能の内のひとつと考え、
ライト館の中にホテル直結のショッピング街を発案。
これに日本で最初の「アーケード」という名称を使った。
こうして、日本で最初のアーケード「帝国ホテルアーケード」が誕生した。
日本で最初のアーケード
犬丸氏の「理想のホテルの実現」へのこだわりはアーケード内のショップにも及んでいた。
「日本の真価を世界に紹介する」という帝国ホテルの重要な役割のひとつを担うため、
「アーケードは、あるいは伝統芸術の面で、
あるいは文化、技術水準の面で日本を代表する店のみ厳選」
このこだわりはたちまち外国人宿泊客の心をとらえ、
新婚旅行で日本を訪れたマリリン・モンロー&ジョー・ディマジオ夫妻、
ベーブ・ルース、フランク・シナトラなどの世界的なスターから、
キッシンジャー夫妻、ライシャワー夫妻など政財界の要人までもがアーケードを訪れ、
ショッピングを楽しんだという。
アーケード開業以来の老舗「ウエダジュエラー」の植田義己氏(初代帝国ホテルアーケード会会長)は
当時をふりかえって、
「ライト館は全て石造りの為、照明がやや暗く、アーケードも
華やかさには欠けていたが、反面落ち着いた重厚さをもっていた」
と語る。
当時から帝国ホテルアーケードをよく利用されていた小坂徳三郎氏(元運輸大臣)によれば、
現在の本館については、
「合理的な中に美しく調和よく出来上がった」
との、感想を遺されている。
受け継がれる誇りと精神
1.各店が外国に持って行っても恥ずかしくない精選された国産品を主に扱う。
2.適正価格で売る。世界中どこを歩いてもホテルのアーケードは、外の店より価格が高めであるが、ここではそういう人の足下をみるようなことはしない。
3.常にベストサービスでのぞむ。
4.専門店が専門の品物を売る。
以上の四つは、開業以来現在に至るまで、
脈々と受け継がれてきた帝国ホテルアーケードの営業方針である。
他の商業施設とは違う、ゆったりとした時間が流れる「帝国ホテルアーケード」。
「どなたでも、気持ちよく気軽に、安心してショッピングができ、
楽しく話し合えるサロンにしたいと念願しております」
前出の、植田義己氏の言葉である。
「きっと、みなさまの、豊かな、ショッピングサロンになり得るものと自負しております」
その気持ちは今も変わることなく、この場所に息づいてる。
ゆったりとした時間の流れる最上のショッピングサロン。
帝国ホテルアーケードのひとときをどうぞお楽しみください。
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