コラム

日本で初めて「アーケード」と名付けられた、“帝国ホテルアーケード”の魅力を余すことなくお届けいたします。

アーケードストーリー第1話 『受け継がれる母の愛』

マユヤマジュエラーで起こった心温まるエピソードをご紹介します

はじめに

帝国ホテルアーケードで理事長を務めている繭山達也です。当アーケードは「宿泊者が雨に濡れないでお買物を楽しんでいただく」というおもてなしの一環で1923年に帝国ホテルライト館とともに誕生し、「日本初のアーケード」として約1世紀近い歴史を歩んできました。現在は宝飾店、ブティック、理髪店、刀剣店などバラエティー豊富な48の専門店が軒を連ねています。

 

今後、こちらのコラムコーナーでは『お店の顔』と題し、各店が推薦するスタッフにアーケード・自店・自身についてリレー形式で語っていただきます。また『アーケードストーリー』では、理事たちにアーケードにまつわるエピソードについて寄稿してもらい、アーケードの魅力をお伝えできたらと考えております。

 

さて、記念すべき「アーケードストーリー」の第1話は、私が勤めるマユヤマジュエラーで起こった感動的エピソードをご紹介したいと思います。

 

アーケードちょっと良い話
『受け継がれる母の愛』~マユヤマジュエラー編

少し風変わりで難しいジュエリーのオーダーを受けたことがある。そのお客様と最初に出会ったのは、彼女が大学2年の夏。お母様と来店され、成人になった記念にお母様が使っていた1ct(キャラット)のダイヤモンドリングを好みのペンダントに作り替えた。母親がいつも使っていた憧れのリングだったようで「本当に良いの?」と何度も念押しして、大変喜ばれていた。

 

約10年の時を経て、久しぶりにご来店されたお客様は夫と二人の幼い姉妹と幸せな日々を送っていた。お客様はお母様から贈られたダイヤモンドに加え、もう1ピースのダイヤを購入してピアスに作り変えることを希望した。デザインはシンプルな立爪で構わないが、一つだけ譲れない条件があるという。全てのグレードが同じダイヤモンドでなくてはならないというのだ。

 

 

ここでダイヤモンドのグレードについて説明しておきたい。ダイヤモンドはCarat(重さ)Color(色)Clarity(内包物の入り具合)Cut(プロポーション)の頭文字を取って「4C」と呼ばれる要素の掛け合わせで価値が決まる。この4Cが全て合致する1ctのペアダイヤモンドを見つけることは至難の技である。(1ctダイヤモンドが採れる確率は約4トンの原石から1つと言われている)

なぜ同じグレードにこだわるのか尋ねたところ、「下の娘が成人を迎えた時に、見慣れたダイヤモンドピアスをそれぞれペンダントにして娘2人にプレゼントしたいんです。ママはこのダイヤモンド同様に、あなた達2人に偏りない愛情を注いできたんだよというメッセージを添えて。」私は感動し、この難しい注文を受けることにした。

 

お母様から譲り受けたダイヤモンドを預かって鑑別機関に出し、グレーディング結果を元に奇跡的にペアになるダイヤモンドが見つかったのは約半年後のことだった。完成したピアスを目にした時のお客様の安堵と慈しみに満ちた表情は一生忘れることはないだろう。人生の節目の記念日を彩るジュエリーを販売していて最もやりがいを感じる一瞬だ。

 

早速ピアスを着けたお客様は「18年たったらペンダントの作り替え、お願いね。」と言い残し、颯爽とマユヤマジュエラーを後にした。見送った背中は凛とし、頼もしさと優しさに包まれていた。

 

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